築年数が経つにつれて、住まいのあちこちに不具合が出てくることもあります。
中でも、屋根の構造に関わる部分の劣化は、早めの点検と適切な対処が必要になります。
今回は、屋根の構造における重要な部材「貫板」について解説します。
貫板の役割や種類、劣化による危険性、そして修理・交換にかかる費用まで詳しくご紹介します。
□貫板とは?その役割と種類について解説
「貫板」は、屋根の棟部分に設置される棟板金を固定するための下地材です。
棟板金は、屋根の頂上部分を雨風から守る重要な役割を担っており、その棟板金をしっかりと固定するために、貫板は欠かせない存在なのです。
1:貫板の役割
貫板は、棟板金を固定するだけでなく、屋根全体の強度を高める役割も担っています。
屋根は、風雨にさらされる厳しい環境下にあり、特に棟部分は、強風や積雪などの影響を受けやすい箇所です。
貫板がしっかりと棟板金を固定することで、屋根全体の安定性を高め、風雨によるダメージから守れるのです。
2: 貫板の種類
貫板には、主に以下の3種類があります。
・木製
・樹脂製
・ガルバリウム鋼板製
それぞれの材質には、メリットとデメリットがあります。
・木製
木材は、加工が容易で、軽量というメリットがあります。
以前は、木製貫板が一般的でしたが、近年では、耐久性やメンテナンス性の観点から、他の材質が使用されるケースが増えています。
・樹脂製
樹脂製貫板は、木材と比べて、水分を吸収しにくいという特徴があります。
そのため、腐食しにくく、耐久性に優れています。
また、軽量で、加工しやすいという点もメリットです。
・ガルバリウム鋼板製
ガルバリウム鋼板は、耐食性、耐久性に優れ、長寿命であるという特徴があります。
近年では、屋根材としても多く使用されています。
貫板にもガルバリウム鋼板が使用されるケースが増えており、耐久性とメンテナンス性の高い屋根を実現できます。
□貫板の劣化が招く危険性
貫板は、屋根の構造上、雨風などの影響を受けにくい場所に設置されていますが、年月が経つにつれて、劣化していく可能性があります。
貫板の劣化は、雨漏りや棟板金の飛散といった危険性につながるため、早めの点検と適切な対処が必要です。
*貫板の劣化の原因
貫板の劣化は、主に以下の原因が考えられます。
1:雨水による腐食
木製貫板は、雨水の影響を受けやすく、腐食しやすいという特徴があります。
特に、釘やビスの穴から雨水が侵入すると、腐食が進行しやすくなります。
2:釘やビスの緩み
貫板を固定している釘やビスが緩むと、棟板金の固定力が弱くなり、風雨による影響を受けやすくなります。
3:熱膨張
貫板は、温度変化によって膨張と収縮を繰り返します。
この繰り返しによって、釘やビスの固定力が弱まったり、貫板自体が破損したりすることがあります。
*劣化による危険性
貫板が劣化すると、以下の危険性があります。
1:雨漏り
貫板が腐食したり、釘やビスが緩んだりすると、棟板金と屋根材の間に隙間が生じます。
この隙間から雨水が侵入し、雨漏りの原因となります。
2:棟板金の飛散
貫板が劣化し、棟板金の固定力が弱まると、強風や台風などの影響で棟板金が飛散する可能性があります。
棟板金が飛散すると、屋根材が破損したり、雨漏りが発生したりするだけでなく、人身事故につながる危険性もあります。
□まとめ
貫板は、屋根の構造において重要な役割を担う部材です。
貫板が劣化すると、雨漏りや棟板金の飛散といった危険性があるため、定期的な点検と適切なメンテナンスが必要です。
特に、築年数の古い住宅では、貫板の劣化に注意が必要です。
貫板の劣化が疑われる場合は、専門業者に相談し、適切な対処を行うようにしましょう。